株式会社エンバイオ・エンジニアリング

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2022.10.11

米国Seattle出張記⑤

帰国が近くなり郊外のクリニックまでPCR検査を受けにいく。日本入国には、出国前72時間以内に検査を受けた陰性証明書が必要で(2022年10月現在は一部要件が緩和されている)、陽性になると飛行機に乗れなくなるため、滞在中はマスク姿で過ごしていた。1回250ドル(約32,000円)という値段設定だが、検査そのものは数分で終わり、数時間後にメールで結果が送られてくる。

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内陸まで平野部が続いていて、高い建物が少ない郊外に来ると空が高く感じられる。

陰性の結果が分かってホッとすると同時に、明日の朝には空港かと思うと、Seattleの街が名残惜しくなってくる。ホテルで帰国の準備を終え一段落したところで、夜の街に出てみることにした。 時刻は午後9時を過ぎ、思いのほか人通りも多そうなので、安全そうな大通りを選んで、Seattleの象徴ともいえるSpace Needleに向けて歩いてみる。コンビニを除き、ほとんどの店が営業を終えているが、街全体が明るく、閉店後もショーウインドウに光がともったままの店が多い。何か作業しているのではないかと中を覗くも、どこも従業員の姿は見受けられない。いくつかの店舗の入口付近では路上生活者が休んでいて、日中の洗練された街並みとのギャップに驚かされた。Seattleでは年々住宅価格が高騰し、人口70万人の街で1万人以上が家を持たない。それに対して、行政の支援が追いついていないようだ。

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昼間とは違った景色の街を歩く。緑地が設けられたSeattle Centerは、1962年の万国博覧会が行われた会場で、Space Needleもこの時に建てられた。公園スペースを囲むように、博物館、美術館もあるエリアで、東京でいうと上野公園に近い。タワーの下まで来てみたが、既に中には誰も居ない。Space Needleが光を放っている他は何もないが、同じような観光客や、歓談する地元住民の姿が見受けられた。

行きと違う道を通ってホテルに戻る。出張の終わりが近づき、東京に積み残してきた課題が頭に浮かんでくる。出国前と何も状況は変わっていないが、不思議と思考が整理されているような気がする。目の前の作業ばかり優先していると、徐々に重荷となる課題が増えてきて、生産性が落ちてくる。それを避けるため、忙しい時ほど、敢えて離れる時間を作るようにしている。手間が掛かって収益性が悪いプロジェクトを入れ、案件だけではなく研修も入れる。そんな余白が課題に向き合うヒントになる。
しかしながら、仕事の中の余白は、それ以外の時間とトレードオフになりがちだ。高度にシステム化された組織では違うのかもしれないが、メイン業務以外のことに取り組むと、業務外の時間が圧迫されてくる。周囲を見渡しても、作業だけで過ごしているように見える人が、余白の有る日常を過ごせているような気がする。時間軸は平等ということだろうか。良い労働環境とは何か、時差のある国で考えさせられた。

米国Seattle出張記①

米国Seattle出張記②

米国Seattle出張記③

米国Seattle出張記④


(文責:渡辺 英喜)