株式会社エンバイオ・エンジニアリング

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2023.08.08

Bangladesh出張記④

Dhakaは人通りの多い大通りを歩く分にはとても安全で、たまにお釣りが返ってこないようなことがあっても、その場で動かずにいれば、周りの人が勝手に口を出してくれて戻ってくる、そんな外国人に優しい首都である。
しかし、旧皮革工場エリアのハザーリーバーグは例外らしい。2000年代から健康被害で世界的に有名になったこの街には、多くの外国人ジャーナリストが訪れてマイナスばかりを強調した結果、住民は地域を散策する外国人に対して負の感情を持っている。安全に見学するにはどうするかを考えていたところ、昔からハザーリーバーグに住んでいる現地監査機関(Dhakaには工場への人権DDニーズに応えるため、外国資本の監査機関が複数存在する)の代表が、休日に案内してくれることになった。

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旧皮革工場エリア手前のDhaka大学のキャンパス。「Leather Engineering & Technology」と皮革工学を学べる学部が設置されている。

朝、ホテルまで車で迎えに来てくれて、ハザーリーバーグへの道中で街の変遷について教わる。元々は住宅と工場が混在する旧市街で、住民の多くが職住近接で生活していたが、徐々に住環境が悪化した。皮革工場の操業が禁止されるにあたり、一帯の工場には土地の権利はそのまま移転支援金が出たとのこと。多くの工場はそれを元手に新エリアに生活基盤を移し土地も売却していったが、一部住人が更に高値になることを期待して工場閉鎖後も保有し続け、激しい渋滞の両脇の建物が空っぽという奇妙な箇所が存在している。

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中心部では車から降りないよう念を押され、旧エリアを車内から見学する。街を眺めると、三輪タクシーの駐車場や牛小屋といった、最有効使用とは程遠い不動産の使われ方が見て取れ、また、かつて工場で使われていたと思われる残置物も方々で再利用されていた。

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かつて革製品の運搬に使われていた台車群。現在は別の用途に使用されている。

旧皮革工場エリアを通り抜けるとフェリーが通る大きな川に出る。ここも、ハザーリーバーグの負の遺産の一つである。

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このブリガンガ川の流域には古から多くの人が住み、かつては漁業が盛んであった。しかし、皮革工場からの排水、投棄された産業廃棄物や生活ごみによって魚が住めなくなり、「死んだ川」と呼ばれるようになってしまった。工場がクローズしてから随分と改善されたらしいが、流域は人口密集地ということもあって、環境負荷は高いままである。

見学を終え、代表の行きつけのカフェでランチをいただく。徐々に飛行機の時間が近くなり、10日間の滞在も終わりが近づいてきた。乗り継ぎのバンコクでのオススメのレストランを教えてもらい、また仕事を作り戻ってくると約束して空港に向かう。

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ご馳走になったランチは、滞在中の食事の中でずば抜けて美味しかった。

Bangladesh出張記①

Bangladesh出張記②

Bangladesh出張記③


(文責:渡辺 英喜)