株式会社エンバイオ・エンジニアリング

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Items
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2023.07.03

Bangladesh出張記③

形式的なゲートが、産業エリアの境目を明確にしている。BSCIC Tannery Industrial EstateはDhaka西部の遠隔地、シャバールに位置する皮なめし工場ばかりを集めた工業団地である。

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中心部の国際空港から西に約25km、川沿いに開発されたエリアは綺麗に区画整理され、小中規模の皮なめし工場が立ち並ぶ。

訪問時、工業団地に立地する150の工場うち134が稼働し、その全てが皮革産業に従事していた。Dhakaの皮なめし工場の多くは、元々は街の中心部のハザーリーバーグにて生産活動を行っていたが、2000年代から大気・水・土壌汚染によって引き起こされる健康被害が深刻化し、政府主導の移転計画で徐々に拠点を移してきた。2017年には旧エリアのハザーリーバーグにおける工場への電力供給が停止、現エリアのシャバールへの集約が完了した。

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少し大きめの工場では、1階スペースはなめし工程に使われ、写真のような乾燥工程は2階以上で行われていた。

許可を得た工場に入らせてもらう。見える範囲の従業員は保護具を着用していないが、一見すると視察に来たバイヤーである私が通っても、特に気にも留めずに作業は続けられる。大半の従業員は保護具以前にサンダルで作業しており、その場で取り繕えるような状況ではない。中を歩いていると、どこの国から?と声を掛けられるが、訪問理由については問われない。多くの工場が国際認証を取得していることもあってか、見知らぬ外国人が内部を見学している状況そのものは珍しくないようだ。
なめし剤の強烈な臭いに圧倒され、次第に目が痛くなってくる。従業員は活き活きと働いている一方、作業環境はよろしくない。欧州バイヤーが頻繁に視察に来ているとのことであったが、EU基準では看過できない作業環境についてはそのままのようだ。もっとも、平らでない世界を見学している私も、傍観者の1人である。

いくつかの工場を訪れ、昼前に切り上げて帰ることにした。帰り道、現地協力者の勧めで公立大学(Jahangirnagar University)に行くことにした。協力者の親戚やその友人と合流し、教室、寮、図書館、一通り内部を見せてもらった。

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大部屋は主に学部1、2年生が使用し、上級生になると空きのある2人部屋で生活する。

構内を一通り見学し、ベンチで紅茶を頂きながら視察先の感想を聞くと、Bangladeshの工場はどこもあんなものだ、との答えが返ってくる。Bangladeshで大学を卒業しても仕事はない、だから可能性のある学生は、皆、海外で働く夢を見ている。通える距離に住む学生は、ロンドンバス(Londonで運営されている赤い路線バスの中古車)で通学して来るし、「留学して卒業後は海外で働く」、薄くともそんな目標がないと、地方から上京組が寮での大部屋生活に耐えられない。

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あなたはLondonに留学して、理想通りに働けているのか?、今日Dhakaで仕事できるのは楽しい。唐突な質問に甘いチャイを飲み込んで、ヒースロー空港の忘れ物に思いを馳せる。

Bangladesh出張記①

Bangladesh出張記②

Bangladesh出張記④


(文責:渡辺 英喜)