2021.06.14
カーボンニュートラルと、アリの森
カーボンニュートラル/脱炭素社会、近年、SDGsと並んで「環境」という文字の横で目にする機会が多いワードである。日本でも昨年10月の菅首相の所信表明演説で、新型コロナウィルス対策やデジタル社会といったトピックと並んで、2050年までのカーボンニュートラル/脱炭素社会の実現が触れられた。
エネルギー供給の低炭素化は、カーボンニュートラルの達成に向け必要な取り組みの一つである。日本ではこの言葉が定着する以前から、エネルギー政策上の位置付けでFit制度(固定価格買取制度)が導入され、再生可能エネルギーの普及促進とCO2排出削減がセットで進められてきた。一方で、企業単位のカーボンニュートラルへの取り組みは緒に就いたばかり、先進的企業の個別的取り組みに留まる印象だ。
EnBioとして、M&Aの際の環境DDやサプライヤーの管理といった場面でEHS(Environmental Health & Safety)側面を評価する業務も行っているが、環境側面では、土・大気・水質、OHS(労働安全衛生)でも就労年齢や労働時間、といった個々の法規制が設けられた分野が主な論点となる。カーボンニュートラルへの取り組み状況は企業評価要素の一つではあるが、他社評価(金額)への反映という意味では優先順位が落ちると言える。今後の厳格化は予想されるが、低炭素化の不足を主因として取引中止になったというような話は、まだ聞いたことがない。
市民生活の中でカーボンニュートラルの潮流を感じるまで、もう少し時間が掛かりそうではあるが、そのキッカケとして、中国で2016年8月から楽しまれているAnt Forest(螞蟻森林)というAlipay(アリペイ)内のミニゲームを紹介したい。
直訳は、アリの森。以前のコラム(中国のDX事情)でも紹介の通り、アリペイは中国で広く普及する2大決済アプリの一つだ。アリの森は、アプリを開くとトップ画面から入ることができ、徒歩通勤や公共交通機関の利用など環境負荷の低い方法を通じ、グリーンエネルギーポイントを貯められる。ポイントを貯めるとアプリ内で木が育ち、一定のポイントが貯まると本物の苗木が植林可能だ。その場所は中国国内だけに留まらず、遠くアフリカなどでも植林できる。植林後の様子は人工衛星を用いた画像で確認できるなど、ユーザー目線で楽しいサービスとなっている。
また、アリ(Ant)の森の名前の由来は、運営会社のAnt Financial(Alibaba Group)から取っているものだが、アリとは小さなことの象徴で、これは同社がビジョンとして掲げる"Bring small and beautiful changes to the world."(世界に小さく美しい変化をもたらす)からきている。環境問題対策にもピッタリのスローガンである。
エネルギー供給の低炭素化は、カーボンニュートラルの達成に向け必要な取り組みの一つである。日本ではこの言葉が定着する以前から、エネルギー政策上の位置付けでFit制度(固定価格買取制度)が導入され、再生可能エネルギーの普及促進とCO2排出削減がセットで進められてきた。一方で、企業単位のカーボンニュートラルへの取り組みは緒に就いたばかり、先進的企業の個別的取り組みに留まる印象だ。
EnBioとして、M&Aの際の環境DDやサプライヤーの管理といった場面でEHS(Environmental Health & Safety)側面を評価する業務も行っているが、環境側面では、土・大気・水質、OHS(労働安全衛生)でも就労年齢や労働時間、といった個々の法規制が設けられた分野が主な論点となる。カーボンニュートラルへの取り組み状況は企業評価要素の一つではあるが、他社評価(金額)への反映という意味では優先順位が落ちると言える。今後の厳格化は予想されるが、低炭素化の不足を主因として取引中止になったというような話は、まだ聞いたことがない。
市民生活の中でカーボンニュートラルの潮流を感じるまで、もう少し時間が掛かりそうではあるが、そのキッカケとして、中国で2016年8月から楽しまれているAnt Forest(螞蟻森林)というAlipay(アリペイ)内のミニゲームを紹介したい。
アリペイのトップページとミニゲーム画面。トップページの広告の下には、居住地(日本)でのコロナ感染の状況が表示されていた。
直訳は、アリの森。以前のコラム(中国のDX事情)でも紹介の通り、アリペイは中国で広く普及する2大決済アプリの一つだ。アリの森は、アプリを開くとトップ画面から入ることができ、徒歩通勤や公共交通機関の利用など環境負荷の低い方法を通じ、グリーンエネルギーポイントを貯められる。ポイントを貯めるとアプリ内で木が育ち、一定のポイントが貯まると本物の苗木が植林可能だ。その場所は中国国内だけに留まらず、遠くアフリカなどでも植林できる。植林後の様子は人工衛星を用いた画像で確認できるなど、ユーザー目線で楽しいサービスとなっている。
また、アリ(Ant)の森の名前の由来は、運営会社のAnt Financial(Alibaba Group)から取っているものだが、アリとは小さなことの象徴で、これは同社がビジョンとして掲げる"Bring small and beautiful changes to the world."(世界に小さく美しい変化をもたらす)からきている。環境問題対策にもピッタリのスローガンである。
写真はMekelle, Ethiopiaでのもの。降水量が少ない地域では、植林もメジャーな環境対策である。