株式会社エンバイオ・エンジニアリング

Soil Contamination
土壌汚染対策サービス
エンバイオ・エンジニアリングは、土壌汚染対策に必要なサービスを最初から最後まで、ワンストップでご提供いたします
Construction
建築工事サービス
土壌汚染を調査・対策した土地に建築工事を行い、新たな価値を提供します。土壌汚染対応を含まない新築案件も広く承ります。
Blue Water and Green Energy
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⽔環境保全やエネルギーに関して、お客様がそれぞれ抱える課題に寄り添いワンストップで問題解決を⾏います。
Environmental, Health and Safety
EHS関連事業
日本国内はもちろん、幅広い国地域(アジア・ヨーロッパ・北中南米等)においても、EHS関連サービスをご提供しています。
Items
製品販売-土壌汚染関連機器・資材の販売・サポート
土壌汚染対策のための、各分野に特化した優れた製品を中心にご提供しています。
2022.02.07

見たくないものは見ない

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年が明けてすぐ、東京にまとまった雪が降った。数年に一度しか雪が積もらないような地域で育った私にとって、つい不安定な足元を忘れ、空を見て歩いてしまう日である。平野部に降る雪は、雑多な街を束の間モノトーンに覆い隠す。

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左奥に見える建物は上野公園の国立科学博物館。エンバイオグループの新入社員は研修カリキュラムで訪れているようだが、私はまだ行けていない。

目に入る情報量が減り、鮮やか過ぎる街では意識がいかなかった、地表の凹凸が見えてくる。3日後に同じ通りを歩くと、今度は賑やかな看板に好奇心がそそられる。情報が十分なら全体が見えるという訳でなく、少し制限されるくらいが、俯瞰するのにちょうどいいのかもしれない。オフラインでもオンラインでも、どこにいても情報は溢れているが、知ることの功罪は存在する。

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チェルノブイリ近郊の高さ150mの電波塔。情報を得ることが優位性に直結した冷戦期に、米国の通信電波を傍受するために造られた。使われなくなって30年以上経つ今でも圧倒的な存在感がある。

現代社会では、以前では考えられなかったことまで、容易に知ることができるようになった。世界が急速に繋がったことで、我々が浴びる情報、ノイズは爆発的に増え、個人の価値観まで影響が及んでくる。調べる煩わしさがなくなった反面、知らなくてもよかった世界が、欠乏感を煽り、何が本当に必要か、何を求めているのか分からなくなってしまう。SNSでキラキラした日常がとめどなく入ってくる環境は、劣等感を煽られやすい人にとって負荷が大きい。 外的要因に左右されず、穏やかな自立を保つにはどうすれば良いのか。目に入ると影響を受けてしまう状況で出来ることは、そこに触れればすぐ手に入る情報に敢えて触れず、知る機会を黙殺することである。時には向こうから迫ってくる不都合な真実を前に、目を閉じる勇気が必要になる。自分で変えることが出来ないのに気にしがちなこと。世界が繋がる前から皆直視しないようにしていた、隣人が買った高級車や、同僚の汚いシャツ、取り巻く状況が変わっても本質は同じだろう。 20代までの私は、インプットこそ正義だと、疑うことがなかった。今思えば、情報感度の高さとトレードオフで、外的な理想に踊らされることもあったかもしれない。仕事でデューデリジェンス業務に深く携わるにつれて、「無限にある情報を如何にして絞るか」という視点が理解できるようになった。今でも意識して制限しないと何でもかんでも知りたくなってしまうが、ある程度は知らぬが仏で満足できる環境を守る。そんな姿勢が、現代を楽しく生きていくに必要な能力の一つかもしれない。
(文責:渡辺 英喜)