2021.01.15
環境デューデリジェンスの役割
環境リスクを見える化する。弊社が社会から求められている役割の一つである。投資判断の検討材料として使われることが多い環境デューデリジェンス(環境DD)では、環境面に大きなリスクが隠れていないかを精査することが求められる。
そもそも、投資判断、特にM&AにおけるDDとは何のために行うのか。 売手側・買手側あるが、ここでは買手側から考えたい。M&AのDDとは、「買っても良いか、いくらで買うか、どんな条件で買うかを決めるための調査」である。M&Aの現場では、対象となる企業(事業)の評価について、財務・会計、法務、人事、ビジネス、IT、不動産、環境等について、複数の外部の専門家チームを用いながら検証することが一般的である。DDを通じて、「売却を検討している企業」と「買収を検討している資本」の情報格差を解消することで、取引の合意へと繋がっていく。
では、環境DDの役割とは何か。 一番の役割は、環境問題がM&AのDeal Breaker、契約を台無しにする大きな障壁、があるか否かの評価である。また環境DDに限らず、買手側は各DDチームの視点の異なる見解を多角的に整理して判断する必要があり、各DDチームはそれぞれ独立しているものの、その調査対象範囲については重なる部分が存在する。環境分野で例を挙げると、遵法性における法務DDと環境DDの重複、環境負債における財務DDと環境DDの重複、等である。各DDチーム見解に相違が生じることも少なくないため、特に買収検討の最終局面においては、見解に相違が生じた不明瞭な部分を解消する作業に労力が割かれる。 様々な制約から、曖昧さをゼロにすることは難しい。それでも、Deal Breakerとなり得る問題が顕在化した際の負担を誰が負うのか、契約前に決めておくのが重要である。特にコロナ禍においては、海外拠点が含まれる案件で現地踏査が制限される場合が多く、限られた情報から条件設定をする重要性が高まっている。
以前、お客様から「環境DDに期待するのはSpeed Breakerの役目」との意見を頂いたことがある。Speed Breakerとは、主に交差点や横断歩道の手前に設置され、通過時に半強制的に車両を減速させる障害物を指す。物理的な方法で、信号を守らない車両も止めることができる。
M&Aで売手側が強い案件の場合、イケイケどんどんで買収計画が進められ、マイナス要素の認識が甘くなっていることがある。環境DDでズバリ遵法性の懸念が指摘されるような時は、立ち止まって他の分野も精査すると色々問題があることが多いと。 環境DDはM&Aにおいて片隅の論点となりがちな要素であるが、我々も調査を通じ、別視点から見落としを防ぐ存在でありたい。
より多くの正確な最新情報を得た上で、判断する。情報を得るための費用対効果の考慮は必要ではあるが、後々になっての「こんなはずでは」を避けるためには、判断材料は多い方がいい。知らなかったでは済まされないこともある。
そもそも、投資判断、特にM&AにおけるDDとは何のために行うのか。 売手側・買手側あるが、ここでは買手側から考えたい。M&AのDDとは、「買っても良いか、いくらで買うか、どんな条件で買うかを決めるための調査」である。M&Aの現場では、対象となる企業(事業)の評価について、財務・会計、法務、人事、ビジネス、IT、不動産、環境等について、複数の外部の専門家チームを用いながら検証することが一般的である。DDを通じて、「売却を検討している企業」と「買収を検討している資本」の情報格差を解消することで、取引の合意へと繋がっていく。
では、環境DDの役割とは何か。 一番の役割は、環境問題がM&AのDeal Breaker、契約を台無しにする大きな障壁、があるか否かの評価である。また環境DDに限らず、買手側は各DDチームの視点の異なる見解を多角的に整理して判断する必要があり、各DDチームはそれぞれ独立しているものの、その調査対象範囲については重なる部分が存在する。環境分野で例を挙げると、遵法性における法務DDと環境DDの重複、環境負債における財務DDと環境DDの重複、等である。各DDチーム見解に相違が生じることも少なくないため、特に買収検討の最終局面においては、見解に相違が生じた不明瞭な部分を解消する作業に労力が割かれる。 様々な制約から、曖昧さをゼロにすることは難しい。それでも、Deal Breakerとなり得る問題が顕在化した際の負担を誰が負うのか、契約前に決めておくのが重要である。特にコロナ禍においては、海外拠点が含まれる案件で現地踏査が制限される場合が多く、限られた情報から条件設定をする重要性が高まっている。
以前、お客様から「環境DDに期待するのはSpeed Breakerの役目」との意見を頂いたことがある。Speed Breakerとは、主に交差点や横断歩道の手前に設置され、通過時に半強制的に車両を減速させる障害物を指す。物理的な方法で、信号を守らない車両も止めることができる。
Speed Breaker、別名Speed Bumpとも。車両の速度を十分に落としても、通過時に激しい上下の振動を生じさせる。写真はインドの首都デリーの南西約30kmに位置するグルガオンで撮影。
M&Aで売手側が強い案件の場合、イケイケどんどんで買収計画が進められ、マイナス要素の認識が甘くなっていることがある。環境DDでズバリ遵法性の懸念が指摘されるような時は、立ち止まって他の分野も精査すると色々問題があることが多いと。 環境DDはM&Aにおいて片隅の論点となりがちな要素であるが、我々も調査を通じ、別視点から見落としを防ぐ存在でありたい。
より多くの正確な最新情報を得た上で、判断する。情報を得るための費用対効果の考慮は必要ではあるが、後々になっての「こんなはずでは」を避けるためには、判断材料は多い方がいい。知らなかったでは済まされないこともある。