2020.12.15
環境制度のトレンド(中国)
私は30年ほど前から環境対策の仕事をしている。中米の水環境、次にアメリカでの情報収集から始まり、日本や中国で実践した土壌地下水、今では中国を主たる対象として、環境全般のコンサルティングやエンジニアリングサービスを行っている。
仕事柄よく移動する。移動の際、車窓から風景を眺めるのが好きだ。ただし、私が見つめるのは風景の背景、遠くに広がる地形や山肌の模様である。地質がIgneous Rock(マグマが冷え固まった岩石)か Sedimentary Rock(堆積岩)なのかを分類して、太古からの地球の歴史を想像し頭の中でマッピングする。地形地質から読み取れる地球の歴史は環境の変遷を知らしめ、気候変動による未来環境を予測する指南書にもなる。
さて、このコラムの名前は全球への夢、いずれ全球各地での車窓から見た環境の変遷を紹介できることに夢を馳せつつ、まずは今年の中国環境制度の分類から書きだすことにする。環境対策は制度の理解から始まる。
2020年2月から10月にかけて、中国では環境関連法令・標準等の制度が140件以上公表されている。公表される制度数の多少は、環境に対する政府の管理監督のトレンドが表れると思われる。分類してグラフ化してみよう。環境分野別では最も多いのが大気に関する制度である(図1)。制度の内容別分類では業種別排汚許可証申請発行に関する技術仕様、次に業種別の排出標準である(図2)。今年の管理監督強化のトレンドは、排汚許可証の制度の運用により大気環境改善の目標達成にあると想像する。
排汚許可証とは、大気汚染防治行動計画(2013年、通称大気十条)の「7.法律法規体系の改善及び法に基づいた厳格管理監督」の項に示された改善すべき制度の一つである。排汚許可証には工場が排出する大気・水汚染物質の種類、許可排出濃度と排出総量、排出口の位置、騒音、固体廃棄物の種類・量と処理方法、生産工程及び自主モニタリング・環境管理台帳記録などの環境管理要求が示され、政府が運営する「国家汚染排出情報公開システム」に公開されている。2020年まで取得が義務付けられており、制度運用のための付属文書(業種別の申請と発行の標準と排出標準)を整えたと言える。
また、最近のエンバイオには、化学物質管理制度に関しての問い合わせが多く寄せられている。本年4月には新化学物質環境管理登記弁法、8月には新化学物質環境管理登記指南(意見請求稿)が公開されている。化学物質の生産や輸入、原材料としての調達にあたっては注意しなければならない制度である。機を見て全球への夢でも取り上げたい。
仕事柄よく移動する。移動の際、車窓から風景を眺めるのが好きだ。ただし、私が見つめるのは風景の背景、遠くに広がる地形や山肌の模様である。地質がIgneous Rock(マグマが冷え固まった岩石)か Sedimentary Rock(堆積岩)なのかを分類して、太古からの地球の歴史を想像し頭の中でマッピングする。地形地質から読み取れる地球の歴史は環境の変遷を知らしめ、気候変動による未来環境を予測する指南書にもなる。
私の勤務地である南京市、市街地西部に位置している石頭城(212年に孫権により築城)の城壁。太古に形成された礫岩が長江の流れにより侵食されて形成された段丘崖にレンガを貼り付けた城壁。このような礫堆積物を供給する扇状地地形は、既にこの付近にはない。
さて、このコラムの名前は全球への夢、いずれ全球各地での車窓から見た環境の変遷を紹介できることに夢を馳せつつ、まずは今年の中国環境制度の分類から書きだすことにする。環境対策は制度の理解から始まる。
2020年2月から10月にかけて、中国では環境関連法令・標準等の制度が140件以上公表されている。公表される制度数の多少は、環境に対する政府の管理監督のトレンドが表れると思われる。分類してグラフ化してみよう。環境分野別では最も多いのが大気に関する制度である(図1)。制度の内容別分類では業種別排汚許可証申請発行に関する技術仕様、次に業種別の排出標準である(図2)。今年の管理監督強化のトレンドは、排汚許可証の制度の運用により大気環境改善の目標達成にあると想像する。
排汚許可証とは、大気汚染防治行動計画(2013年、通称大気十条)の「7.法律法規体系の改善及び法に基づいた厳格管理監督」の項に示された改善すべき制度の一つである。排汚許可証には工場が排出する大気・水汚染物質の種類、許可排出濃度と排出総量、排出口の位置、騒音、固体廃棄物の種類・量と処理方法、生産工程及び自主モニタリング・環境管理台帳記録などの環境管理要求が示され、政府が運営する「国家汚染排出情報公開システム」に公開されている。2020年まで取得が義務付けられており、制度運用のための付属文書(業種別の申請と発行の標準と排出標準)を整えたと言える。
また、最近のエンバイオには、化学物質管理制度に関しての問い合わせが多く寄せられている。本年4月には新化学物質環境管理登記弁法、8月には新化学物質環境管理登記指南(意見請求稿)が公開されている。化学物質の生産や輸入、原材料としての調達にあたっては注意しなければならない制度である。機を見て全球への夢でも取り上げたい。