株式会社エンバイオ・エンジニアリング

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対策井戸から揚水した汚染地下水の曝気処理装置による無害化

対策井戸の地下水に含まれるトリクロロエチレンと、その分解生成物である1,2-ジクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン及びクロロエチレンの計4物質を、曝気処理装置により無害化した事例です。

概要

対象地情報 金属加工管・継手などの加工品製造工場
汚染物質 地下水(リクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、クロロエチレン)
区域指定の有無
実施⼯法 地下水拡散防止対策
対策深度 GL-23m~GL-48mの地下水
期間 1週間(設備設置工事)

詳細

1.はじめに

当該工場では過去にトリクロロエチレンを洗浄に使用していた。 自主調査を行ったところ、観測井戸でトリクロロエチレンによる地下水汚染が判明した。 地下水汚染が拡散しないように対策井戸を設置して地下水を揚水し、曝気処理装置により無害化している。

2.対象地

当該工場の対象エリアは、山裾に広がる田んぼや用水路、ため池などが散在するエリアになる。 対象地では上部帯水層(GL-9m~GL-21m)と下部の帯水層(GL-23m~GL-48m)があり、地下水汚染が確認された下部帯水層に対策井戸を設置した。地下水位はGL-7.0m程度であった。

3.対策方法

地下水拡散防止対策のため、トリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物(以下、VOCsと記す)による地下水汚染が確認された下部帯水層(GL-23m~GL-48m)に対策井戸2本(全長59m、スクリーン区間GL-26m~GL-45m)を設置した。
対策井戸の近くには、曝気処理装置を配置した。
曝気処理装置には揚水された地下水中の砂分を沈殿分離する沈殿槽を設けている。曝気槽には複数の仕切り板を取り付けており、滞留時間を長くした曝気を行うことで、液相(水)の VOCs を効率よく気相に移すことが可能となる。曝気処理装置内で気相に移行した VOCsガスは、吸引ブロワで回収・排気され、活性炭に吸着される。VOCsが取り除かれた処理後のガスは、大気に排気した。地下水を曝気処理した処理水は、直近の雨水排水路に放流した。

4.地下水の汚染濃度・処理水濃度と曝気装置の運転条件

■地下水の汚染濃度
トリクロロエチレン 3.2(mg/L)
1,2-ジクロロエチレン 0.71(mg/L)
1,1-ジクロロエチレン 0.003(mg/L)

■処理水濃度
トリクロロエチレン 0.01以下(mg/L)
1,2-ジクロロエチレン 0.04以下(mg/L)
1,1-ジクロロエチレン 0.1以下(mg/L)
クロロエチレン 0.002以下(mg/L)

■曝気装置の運転条件
処理水量 86.4 (m3/日)
曝気風量 5,472 (m3/日)