土壌地下水環境対応支援
エンバイオでは幅広い国地域で、土壌地下水汚染リスクの定量化とその対策を行います。現地の法規制を踏まえたフェーズ1(資料等調査/地歴調査)、フェーズ2(土壌地下水サンプリング調査)、フェーズ3(対策工事)を実施します。
環境デューデリジェンスを契機とする試料採取を伴う土壌調査や、汚染が確認された土壌の対策方法等のコンサルティングの経験を、海外サイトにおいても豊富に有しています。特に中国では、対策工事後の行政協議支援まで自社スタッフで対応可能です。
海外用地において特に注意すべきリスク
海外拠点を持つ日本企業にとって、土壌地下水汚染への対応が必要になる際、海外用地で特に注意すべきものとして、以下のような点が挙げられます。
日本では規制対象とならない調査対象物質や、異なる調査契機が存在することがあります。土壌調査の実施前に、遵法性について確認が必要です。
既存の環境法・規制があるが機能していない、法規制はないが広く用いられているガイドラインがあるなど、法と運用との隔たりが大きいケースがあります。
拠点売却時に土壌環境に関する基準がない場合でも、新たな法規制が制定された後、遡及的に元所有者として責任を追及される可能性があります。
外資系企業が標的とされ、健康被害防止や土壌汚染拡散防止といった枠を超えた、過度な土壌調査や対策工事が要求される場合があります。
海外用地においては、遡及的な責任追及を避けるため、現地規制で土壌調査が必須でない場合でも自主的に土壌汚染調査・対策を行うケースもございます。海外拠点の移転や撤退などで土壌汚染調査が必要となった場合、日本国内ではあまり気にしないようなリスクを意識しながらの対応が重要です。
海外用地の土壌調査
まずは資料ベースでの調査(フェーズ1)、その後に土壌サンプリング及び分析を伴う調査(フェーズ2)、必要に応じて対策工事(フェーズ3)、と大きな流れは国地域問わず共通です。しかしながら、土壌調査の過不足(調査地点や深度、対象物質等)については特に注意が必要です。
土壌調査実施後に調査地点数や深度について行政から指摘を受けることや、試料分析前の調査対象物質の精査を怠った結果、自然由来汚染を確認して対応が必要になるケースなどもあるので、事前準備や概況の調査を十分に行い、適切な調査仕様を作成することが重要になります。
また、将来的な土壌汚染調査の可能性がある場合、日本国内で行うよりも準備に時間を要することがあるため、日程に余裕を持った取り組みが必要となります。
事前準備
調査対象地が立地する国や地域の法規制について情報を収集し、調査で必要となる情報や前提条件について大枠を把握します。
- 環境法の整備状況
- 調査対象物質
- 行政に届出済の産業施設の有無
- 工場撤退時に行政報告が求められる事項
概況の調査
過去の土地の利用用途・使用物質などについて情報を整理し、土壌汚染の恐れの有無等を判断します。
- 汚染地に関連するEU圏における規制(IED)、フランス国内のデータベース(BASOL/BASIAS)による制約等
- 周辺用地の使用用途(農業/住宅/工業)による制約等
- 公証人制度等の土地取引関連規制による制約等
国内外で企業が直面する土壌汚染リスク
土壌地下水汚染が発生し、かつ人への摂取経路が適切に管理されていない場合、従業員や近隣住民に健康被害を及ぼす可能性がある。
土壌汚染が確認された土地では、汚染拡散がないよう管理していく必要があり、また汚染源を除去するには多額の費用を要するため、資産価値が低下する。
健康被害や汚染拡散の防止措置が取られていたとしても、土壌汚染を発生させた企業として認知されてしまえば、企業に負のイメージが付く可能性がある。
中国の土壌地下水環境支援について
中国では土壌関連の法規制が整備され、近年急速に厳格化しています。一方で土壌対応に慣れた専門家を有する調査会社は限られ、外資系企業には特に注意して対応する必要があります。
エンバイオは南京に100%子会社を有し、土壌汚染に関する対応を日本語対応のワンストップでご支援が可能です。
中国において、法により企業に義務付けられた土壌汚染調査の契機は以下の4つが挙げられます。
- 土壌汚染重点監視管理企業に指定された時
- 突発事故が発生し土壌汚染が発生する可能性がある時
- 一般調査等などで土壌汚染リスクありと判断された建設用地が公共用地として開発される時
- 土壌汚染の疑いのある工場用地の用途を変更したり、工場の移転等に伴い土地使用権を返却したりする時
重点監視管理企業には、大気・排水・危険廃棄物等がありますが、土壌の重点監視管理企業に指定された場合、以下のような対応が必要となります。
重点監視の種類 | 企業に課せられる対応 | 企業が行うべき確認事項 | 指定解除の条件※1 |
---|---|---|---|
土壌 |
「一工場一対策」の法案作成 自主環境モニタリング計画の作成 土壌汚染リスク調査を指定された頻度で実施 |
地方政府と土壌汚染防止責任書を締結しているかどうかを確認 土壌汚染リスク調査の実施頻度を確認 |
以下の3要件を満たす ①年間の危険廃棄物産出量が100t以下 ②3年以内に廃棄物・土壌・地下水汚染が発生していない ③政府指定の重点監視業種※2でないこと |
※2…有色(非鉄)金属鉱石の採掘、有色(非鉄)金属の製錬、石油採掘、石油加工、化学工業、コークス化、メッキ、皮なめし工場等の業界。それ以外の業種についても該当することがある。
土壌汚染調査に関するガイドラインに基づいたプロセス
調査が必要となった際は、土壌汚染調査に関するガイドラインに基づいた調査修復計画の作成と実施、専門家審査会(委員会)での審査承認のプロセスに基づき進行します。
専門家審査会とは、学識経験者からなる専門委員が土壌汚染調査の結果、修復の計画や結果の妥当性を審査承認する会議で、中国での土壌汚染調査修復で最も重要なプロセスです。
工場移転時の調査修復では生態環境部門が主催しますが、重点監視管理企業の調査時では工場が専門家に依頼して主催することになります。企業は調査修復実施者(汚染責任者や土地使用権者)として参加し、法定調査や修復を請負った業者はこの場面では中立的立場で結果を報告します。
エンバイオは江蘇省、河北省、天津市など複数の地域で実績があり、中国全土で対応が可能です。
Q&A
全般的なQ&A
- 有害物質を使っていないので行政指示の調査で問題ないのでは?
- 調査対象となり得る有害物質には、自然界に多く存在する物質(ヒ素・フッ素等)も含まれます。過剰な調査で汚染を見つけた場合、その汚染が工場の事業由来となってしまう可能性もあるため、適切な仕様で調査を行うことが重要です。
- 現地法人に一任してはダメですか?
- 土壌調査に関する行政からの指摘は、数年間のブランクを経て行われたケースも多々あります。そのようなリスクに備えるためにも、調査に関する背景や注意事項等を複数のスタッフで把握し、対応することをお勧めします。
中国特有のQ&A
- 工場移転時に調査が必要になる工場は、どのような工場ですか?
- 当該土地が地方生態環境部門により“土壌汚染重点監視管理企業や有毒有害物質を使用している工場で、土壌汚染の疑いのある用地”と認定された場合調査が必要になります。
- 工場移転時の土壌調査はいつ開始すれば良いですか?
- 地方生態環境部門が土地使用権者宛に発行する「土壌環境初歩調査実施指示の通知」を受領後に調査を開始します。
- 土壌と地下水の評価基準は?
- 土壌環境品質建設用地土壌汚染リスク管制標準(試行)(GB36600-2018)及び 地下水品質基準 (GB/T-14848-2017) があり、現地の基準に沿った土壌地下水調査及び対策が必要です。
- 汚染が確認された際、修復は必ず必要ですか?
-
リスク評価選択値※2を超過すると汚染有りと認定されますが、修復が必要になる汚染とは対象物質の濃度が人の健康リスクの許容範囲を超えている汚染です。人の健康リスクの許容範囲以内の汚染であれば、リスクコントロールを選択することができます。
※2‥建設用地土壌汚染リスク評価選択値。この値を超過の場合するには、人体に対する健康リスクが潜在的にあると認め、引き続き、詳細調査及びリスク評価を行い、汚染範囲とリスクレベルを確定する。この値以下なら人体に対する健康リスクは無視でき、汚染なしと判断できる値。
エンバイオ Group 土壌地下水環境支援の中国における主な実績
ご発注者様 | 案件名 | 調査/対策/コンサル | 目的・内容 |
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民間企業 | 化学工場土壌調査 | 調査 | 環境リスク診断後の土壌調査 |
化学工場モニタリング | 調査 | 土壌汚染の未然防止 | |
民間企業 | 化学工場土壌調査 | 調査 | 行政手続き |
化学工場審査会対応 | コンサル | 行政手続き 土壌専門家審査会への対応 |
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化学工場詳細調査 | 調査 | 行政手続き | |
民間企業 | 機械工場土壌調査 | 調査 | 土地引き渡し先からの土壌汚染調査要求への対応 |
民間企業 | 化学工場土壌調査 | 調査 | 工場拠点進出前の土壌汚染リスク把握 |
工場進出前建屋建築CM | コンサル | 工場拠点進出前準備の支援 | |
民間企業 | 化学工場土壌調査 | 調査 | 土壌汚染の未然防止 |
民間企業 | 化学工場土壌調査 | 調査 | 環境リスク診断後の土壌調査 |
民間企業 | 運輸機械部品工場修復 | 対策 | 自主的な土壌修復 |
運輸機械部品工場修復設備撤去CM | コンサル | 土壌汚染調査の準備 | |
運輸機械部品工場初歩・詳細調査 | 調査 | 行政手続き | |
運輸機械部品工場審査会対応 | コンサル | 行政手続き 土壌専門家審査会への対応 |
|
運輸機械部品工場追加調査・リスク評価 | 調査 | 行政手続き 土壌地下水の追加調査 |
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運輸機械部品工場審査会対応 | コンサル | 行政手続き、土壌専門家審査会への対応 | |
民間企業 | 中国土壌汚染関連の法規制解説作成 | コンサル | 社内勉強会用の解説資料作成 |
民間企業 | 鉄鋼工場土壌調査 | 調査 | 土壌地下水汚染リスク把握 |
民間企業 | 金属工場土壌調査 | 調査 | 土地使用権返却前の土壌汚染リスク把握 |
金属工場初歩調査支援 | コンサル | 行政手続き | |
民間企業 | 化学工場土壌調査 | 調査 | 環境リスク診断後の土壌調査 |
民間企業 | 土石製品工場土壌調査 | 調査 | 環境DD実施後の土壌調査 |
民間企業 | 金属工場土壌調査 | 調査 | 工場拠点進出前の土壌汚染リスク把握 |
民間企業 | 食料品製造工場土壌調査 | 調査 | 環境DD実施後の土壌調査 |
研究機関 | コークス工場土壌調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 |
地方政府 | 化学工場土壌調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 |
民間企業 | 皮革工場土壌調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 |
民間企業 | メッキ工場土壌地下水調査 | 調査 | 重金属の地下水汚染の汚染範囲の把握 |
地方政府 | ○○修復後の評価 | コンサル | 工場跡地の再開発 |
地方政府 | 機械工場土壌調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 |
地方政府 | 学校用地土壌調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 |
地方政府 | 幼稚園等教育用地土壌調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 |
民間企業 | 油田土壌修復 | 対策 | 油分含有土壌の自主的な修復 |
民間企業 | 稼働中工場内における土壌調査 | 調査 | 油分含有土壌の自主的な調査 生産安全性の確保 |
稼働中工場内における土壌地下水調査 | 調査 | 油分含有土壌の自主的な追加調査 地下水のモニタリング 生産安全性の確保 |
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民間企業 | 中国環境法令・行政手続き調査 | コンサル | 環境管理及び工場移転に向けたコンサルティング |
民間企業 | ○○市修復設計・制度コンサル | コンサル | 工場移転のための土壌修復コンサルティング |
民間企業 | ○○市化学工場跡地調査 | 調査 | 行政命令による再開発に伴う調査(補償金手当有) |
○○市化学工場跡地調査 | 対策 | 有機化合物汚染土壌の修復 | |
公的研究機関 | 農用地重金属汚染の微生物-植物修復 | コンサル | 環境部通達等に基づいた研究業務 |
民間企業 | ○○市化学工場土壌調査 | 調査 | 化学物質漏洩の顕在化による自主調査 |
地方政府 | ○○市化学工場跡地調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 |
環境公益団体 | メッキ工場土壌調査 | 調査 | 裁判証拠資料の作成 |
環境公益団体 | ○○サイト土壌調査 | 調査 | 裁判証拠資料の作成 |
地方政府 | 化学工場土壌調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 |
地方政府 | ○○工場跡地土壌修復中規模試験工事 | 対策 | 工場跡地の再開発 有機化合物汚染土壌の修復 |
○○汚染サイト浅層撹拌技術コンサルティング | 対策 | 工場跡地の再開発 有機化合物汚染土壌の修復 |
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○○汚染サイト浅層撹拌工事中の簡易分析 | 調査 | 工場跡地の再開発 | |
○○汚染サイト浅層撹拌浄化工事 | 対策 | 工場跡地の再開発 有機化合物汚染の土壌の修復 |
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○○市サイト土壌調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 | |
○○市サイト土壌調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 調査・試料採取 |
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○○市サイト土壌調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 調査・試料採取と分析 |
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民間企業 | メッキ工場跡地土壌修復工事 | 対策 | ディベロッパーによる再開発 重金属汚染土壌の修復 |
地方政府 | ○○跡地詳細調査 | 調査 | 工場跡地の再開発 |
地方政府 | ○○サイト土壌採取 | 調査 | 工場跡地の再開発 |
民間企業 | 機械工場調査・試料採取 | 調査 | 化学物質(重金属)漏洩の顕在化による自主調査 |
地方政府 | ○○サイト初期調査報告 | 調査 | 工場跡地の再開発 |