株式会社エンバイオ・エンジニアリング

Soil Contamination
土壌汚染対策サービス
エンバイオ・エンジニアリングは、土壌汚染対策に必要なサービスを最初から最後まで、ワンストップでご提供いたします
土壌汚染対策サービス
PFAS Solutions
PFAS汚染対策サービス
地中に特殊な活性炭を注入して浄化壁を設置してPFASを封じ込め、PFAS汚染の拡大防止を図る原位置工法を提案しています。PFAS汚染の調査、対策、モニタリングの全工程をワンストップでお引き受けできます。
PFAS汚染対策サービス
Green Energy
エネルギー事業
太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーのEPC、O&M、そして売電コーディネートまで、すべてのフェーズに対応します。遊休地を維持する負担や人員の不足など、お客様に寄り添ってサービスを提供いたします。
エネルギー事業
Construction
建築工事サービス
土壌汚染を調査・対策した土地に建築工事を行い、新たな価値を提供します。土壌汚染対応を含まない新築案件も広く承ります。
建築工事サービス
Environmental, Health and Safety
EHS関連事業
日本国内はもちろん、幅広い国地域(アジア・ヨーロッパ・北中南米等)においても、EHS関連サービスをご提供しています。
EHS関連事業
Items
製品販売-土壌汚染関連機器・資材の販売・サポート
土壌汚染対策のための、各分野に特化した優れた製品を中心にご提供しています。
製品販売
Company
会社概要
エンバイオ・エンジニアリングについてご紹介いたします。
会社概要
2025.06.30

地下水採取による地盤沈下~インドネシアを事例に~

戦後から高度経済成長期にかけて、日本では工業用水として地下水採取量が増大し、都市圏における地盤沈下や地下水の塩水化が発生し大きな社会問題となりました。その後、法律や条例等による取水規制やダム等の整備による河川水への水源転換などの地下水保全対策が実施された結果、大きな地盤沈下は見られなくなりました。

同様の問題が現在のインドネシアでは続いています。たとえば、首都ジャカルタでは、ここ25年間で約4.9m沈下が進行した地域があり、さらに現在も年間約25cmの速度で地盤沈下が進んでいる地域があるそうです。
地盤沈下にブレーキをかけるために、エネルギー鉱物資源大臣令(291.K/GL.01/MEM.G/2023)が2023年9月に発令され、1か月あたり100m3(立方メートル)以上の地下水を使用する全ての個人、団体、政府機関、法人、非営利組織等は、地下水を使用するにあたって許可を得る必要があると規定されました。
インドネシアでの地盤沈下抑制につながる変化をもう一つ紹介します。インドネシア政府は、持続可能な産業の発展を目指し、2024年に工業施設のゾーニングに関する政府規則2024年第20号(Government Regulation No 20 Year 2024)を施行しました。この規則によれば、工業団地内の企業は、環境・資源問題の管理で協力し、工業団地内の全ての企業は地下水をくみ上げないことが決められています。弊社が最近行ったデューディリジェンスでは、本規則を理由に地下水の取水許可の延長申請が認められなかったケースがありました。地下水を取水できない場合には、水道等で代替する必要が生じますが、用水に関する出費がかさむ可能性があるため注意が必要です。

ところで、近年の調査で、ほとんどのアフリカ諸国には干ばつが発生しても飲み水として1人1日130リットル利用できる地下水が最低5年分以上、場合によっては50年分以上貯留されていることが判明したそうです。今後、アフリカ諸国において地下水開発が進めば、これまで安全な飲料水が得られなかったアフリカの人々が安全な水を利用できるようになる可能性もありますが、過剰に地下水を採取すれば、日本やインドネシア同様、アフリカ諸国でも地盤沈下や地下水の塩水化や枯渇が発生する可能性があります。他国の事例から得られる教訓を生かし、取水に規制をかけるなどして、持続可能な形で開発が進み、より多くの人々が平等に安全な水を利用できるようになることを願っています。

地下水に限らず、国内外の環境デューディリジェンス(環境DD)のご相談はこちらからお問い合わせください。

(本コラムは、業務を通して経験したことを、2025年4月30日時点のインターネット情報に基づいて深掘りしたものです。ネット上の情報はできるだけソースをあたっていますが、内容に誤りがあった場合はご容赦いただけますようお願いします。)

参考文献
・国土交通省「地下水保全と地盤沈下の現状」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_tk1_000063.html(参照2025-04-30)
・Matt Simon「Jakarta Is Sinking. Now Indonesia Has to Find a New Capital」WIRED, https://www.wired.com/story/jakarta-is-sinking/(参照2025-04-30)
・Sheryl Tian Tong Lee and Grace Sihombing 「地球上最悪の水没危機、地盤沈下ジャカルタ-2030年まで無策なら逃げ場なし」Bloomberg, https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-13/S59TJET0G1KW00(参照2025-04-30)
・In'am Zaidi and I Gusti Ayu Ketut Rachmi Handayani (2025)「Indonesia's Unclear Groundwater Management in Achieving Sustainable Development Goals: Regulations, Environmental Impacts, and Strategic Solutions」International Journal of Sustainable Development and Planning, 20, 1, 263-270
・Kirana Sastrawijaya and Angela Vania Rustandi 「ESG2024 Indonesia Trends and Developments」Chambers and Partners, https://practiceguides.chambers.com/practice-guides/esg-2024/indonesia/trends-and-developments(参照2025-04-30)
・Perpajakan DDTC「PERATURAN PEMERINTAH REPUBLIK INDONESIA NOMOR 20 TAHUN 2024」Perpajakan DDTC, https://perpajakan.ddtc.co.id/sumber-hukum/peraturan-pusat/peraturan-pemerintah-20-tahun-2024(参照2025-04-30)
・Anna Ford「地下水:隠れた水が気候変動から世界を守る」ウォーターエイド, https://www.wateraid.org/jp/publications/groundwater-the-worlds-neglected-defence-against-climate-change(参照2025-04-30)
(文責:U.M.)