環境デューデリジェンス(環境DD)
デューデリジェンス(Due Diligence / DD)は、M&A(企業買収・合併)などにおける投資対象の調査のことを表す用語です。Dueは”当然”の意味で、Diligenceは”努力”という意味をもち、投資に向けた意思決定のために、するべき努力義務と解釈することができます。デューデリジェンスは分野ごとにそれぞれの専門家によって行われることが一般的で、その対象は、財務、法務、人事、環境など多岐にわたります。
環境DDが必要となる場面
環境デューデリジェンスは、対象用地の環境面のリスク(土壌汚染リスクや排気廃水、遵法性など)を適正に評価し、M&Aや不動産取引(海外生産拠点の移転・撤退等)における意思決定や価格形成に必要なサービスです。金融機関による担保評価や、企業の保有不動産(CRE)戦略検討のための使用も可能です。
エンバイオでは、日本国内はもちろん、調査対象が国内外の複数拠点に跨る場合でも、クロスボーダーの環境デューデリジェンスをご提供しており、環境面の評価と並行して労働安全衛生 (Occupational, Health and Safety / OHS)の側面を評価することも可能です。
状況に応じて調査のスコープを検討し、対象となる国地域、案件ごとの期間・制約等に応じた環境デューデリジェンスをご提供します。
調査に用いる基準
海外拠点を対象とした環境面での調査の場合、米国の基準(ASTM E1527: Phase 1 Environmental Site Assessment)を準用して評価することが一般的でした。環境に関する明確なルールを持つ国地域が少なかった時代にはそれで問題ありませんでしたが、近年の世界的な環境意識の高まりにより、独自の法規制を整備する国地域が増え、現地のルールを理解した上で確認すべき事項が多くなってまいりました。
エンバイオは、下記のように幅広い国地域に現地協力業者ネットワークを持ち、現地の遵法性を考慮した最適な調査を実施します。それ以外の国地域についても、案件ごとに調査ニーズに応じた柔軟な対応が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
イギリス、イタリア、オランダ、スペイン、ドイツ、フランス、ベルギー、ポルトガル、ロシア、インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、韓国、中国、台湾、香港、パキスタン、バングラディッシュ、
フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス、オーストラリア、アメリカ、カナダ、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビア、チリ、
パラグアイ、ブラジル、ペルー、メキシコ 等
※ 上記以外の国地域についても、案件ごとに調査ニーズに応じた柔軟な対応が可能です。
主な海外環境DD実績
国・地域 | 実施内容 | |
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中国 | 河北省 | 環境遵法性を評価 |
河南省 | フェーズ1, 2調査、対策費用算出 | |
江蘇省 | フェーズ1調査 環境リスク全般を評価 |
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Desktop Study | ||
上海市 | Desktop Study | |
浙江省 | フェーズ1, 2調査 | |
フェーズ1, 2調査、対策費用算出 環境リスク全般を評価 |
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広東省 | フェーズ1調査 環境全般及び生産規制リスクを評価 |
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Desktop Study | ||
フランス | Desktop Study | |
ドイツ | Desktop Study | |
インドネシア | Desktop Study | |
シンガポール | フェーズ1調査 | |
フェーズ1, 2調査 | ||
タイ | Desktop Study | |
フェーズ1調査 | ||
韓国 | Desktop Study | |
Desktop Study | ||
台湾 | Desktop Study | |
マレーシア | フェーズ1調査 | |
フェーズ1, 2調査 | ||
オーストラリア | フェーズ1調査 | |
アメリカ | グアム | Desktop Study |
フェーズ1調査 | ||
北マリアナ諸島 | Desktop Study | |
フェーズ1調査 | ||
ニューヨーク州 | Desktop Study | |
ノースカロライナ州 | Desktop Study | |
テキサス州 | Desktop Study | |
カナダ | Desktop Study |
Q&A
- 英文での報告書作成は可能ですか?
- 報告書は複数ヶ国の方が目を通されることを想定し、英語本文・日本語サマリーでの対応を基本としています。ニーズによって柔軟な対応が可能です。
- 現地調査なしでも評価可能ですか?
- 海外拠点の場合は特に、サイトビジットを通じた実態の把握を推奨していますが、取引上の制約等に応じて、書面のみでの評価や、書面+Q&A対応での評価も可能です。
- 工場以外の環境DDも対応可能ですか?
- 農場や商業施設といった調査対象地に対しても、条件や制約に応じた調査スコープをご提案して評価が可能です。
- 他社のセカンドオピニオンをお願いできますか?
- 実施済の環境デューデリジェンスのレポート評価が可能です。詳細は下記の案内をご一読ください。
環境デューデリジェンスのレポート評価
売手企業主導、現地法人主導等によって行われた環境デューデリジェンス報告書に対し、環境リスクや操業リスクへの評価が適正なものであるか、読み取れる情報やその裏付け等を確認し、評価します。
既往調査をどのように判断すべきか、追加調査の必要性、ディールが進む中で確認すべきポイントは何か、等の情報が整理可能です。
- 「~から著しい土壌・地下水汚染を引き起こしている可能性は低いと考える」とした結論は概ね妥当であると考えられる。
- 潜在的な土壌・地下水汚染の可能性および環境管理について確認された主なリスクは以下の通りである。操業の継続の観点からは重大なリスクが含まれていると考えられる。
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飲用水水源保護区について
対象地は飲料用水の採取に使用されている○○ダムの近隣に位置し、水質環境汚染防止法の飲料用水水源保護区として指定されているため、工程排水・生活排水などの排出が一切禁止されている。報告書によると、敷地内で発生した排水については、二次処理後に○○の○○として利用されているとあるが、その総量についての記載はない。
また、「~対象地が水源保護区から外れる可能性がある。」と報告書で言及されているが、現地環境コンサルタントへのヒアリング、○○の発表、等からこの情報について確認できず、規制厳格化への疑念を払拭するには至っていない。
これらの懸念について、サイトビジットの際に注意して確認する必要がある。